Japanese
English
症例報告
強制把握のある利き手で食事摂取を可能とした1例—強制把握低減訓練と患者の意志を汲んだかかわり
An example of making it possible to eat food with a dominant hand with forced grasp: to regain the dominant hand, forced grasp reduction training and relationships that respect the will of the patient
永井 亜希子
1
,
生田 宗博
2
,
澤田 雅也
1
,
川北 慎一郎
1
Akiko Nagai
1
,
Munehiro Ikuta
2
,
Masaya Sawada
1
,
Shinichirou Kawakita
1
1恵寿総合病院
2湘南医療大学
キーワード:
強制把握
,
利き手
,
再獲得
Keyword:
強制把握
,
利き手
,
再獲得
pp.313-317
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202455
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Abstract:強制把握は,触覚性刺激により把握反射が誘発され,いったんつかむと自分では離せず,日常生活において大きな障害となる.今回,脳梗塞発症後,右利き手の強制把握,保続,失語症を呈し,食事全介助となった患者を担当した.当初は左手を利き手に用いる訓練を行っていたが,効果はなかった.しかし作業療法開始時より,意図した動作では,右手に強制把握が出現しなかったことを考慮し,食事自立に向け,①掌側の手・指へ摩擦刺激を与え,感覚刺激に慣れてもらう強制把握低減訓練,②患者の意志の実現のため,右利き手でスプーンを持って行う摂取動作訓練,③両手を用いた作業を導入した.介入1カ月で強制把握は認めず,自力でスプーンを把持し,摂取は可能となった.
要因は,連続的な摩擦刺激で,表在感覚の閾値が上がり,強制把握が低減した状態で,患者の意志に沿う積極的な右手の使用を進めたことで,“使える手”と再認識し,自力での食事摂取を可能としたと考えた.
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