Japanese
English
実践講座 全身管理・リスク管理12
肝障害
Liver damage.
谷口 藍子
1
,
平尾 充成
1
,
田中 克明
1
Aiko Taniguchi
1
,
Mitsuaki Hirao
1
,
Katsuaki Tanaka
1
1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター・消化器病センター
1Yokohama City University Medical Center, Gastroenterological Center
キーワード:
急性肝炎
,
慢性肝炎
,
肝硬変
,
運動療法
,
肝血流
Keyword:
急性肝炎
,
慢性肝炎
,
肝硬変
,
運動療法
,
肝血流
pp.1141-1146
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100941
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はじめに
リハビリテーション目的で入院中の患者に肝障害を認めた時には,まず現疾患が急性肝障害(急性ウイルス性肝炎,肝炎ウイルス以外のウイルス感染による肝障害,薬剤性肝障害など)なのか,慢性肝障害(慢性肝炎,肝硬変,脂肪肝,アルコール性肝障害など)なのかを区別すること,さらに肝実質性の病変(肝炎,肝硬変,脂肪肝,アルコール性肝障害,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変など)なのか,腫瘍などの限局性病変なのかを区別することが重要である.そして,ウイルス性慢性肝炎やアルコール性肝障害であれば,軽度ないしは肝硬変直前の進行した慢性肝炎か,あるいは肝硬変であれば代償期なのか,腹水,黄疸,脳症などを伴う非代償期なのかを考える.さらに,食道静脈瘤や肝細胞癌の有無を内視鏡検査,超音波検査,CTなどでチェックしていくという流れが実際的なアプローチであろう.
肝障害時における運動療法の意義について確立されたものはないが,運動により肝血流量が減少することから安静が強調されすぎたきらいがある.近年,肝疾患における運動療法の意義についても検討が行われるようになったが,非代償期肝硬変や急性肝炎の極期以外の病態では運動が肝障害を増悪させたとするエビデンスは証明されていない.
本稿では,肝疾患の診断の流れと運動に関する現在までの研究成果を概説したい.
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