- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,医学的リハビリテーションの領域においては,専門家主導の医療から患者・利用者主体のリハビリテーションにパラダイム変換し,チームによるリハビリテーションがますます重要となっている.2002年5月に誕生した国際生活機能分類(ICF)は,チーム医療のための有効なツールとして期待されているところであり,その理念は,医療・介護保険のリハビリテーション(総合)実施計画書に反映されている.しかし,それぞれの医療施設においてチームの一員として機能する専門職員をどのように育成したらよいのだろうか.他業界を見渡すと,航空業界にはCRM(Crew Resource Management)があり,一般企業では,国際標準化機構(International Organization for Standardization;ISO)やTQC(Total Quality Control)などのビジネスモデルが活用され,人事革新やサービスの質の継続的改善が行われている.
医療における人材育成には,認知領域,情意領域,精神運動領域の3つの領域があり,それぞれの職能団体ごとに卒前・卒後教育の充実が図られているところであるが,個々の所属施設における人材育成システムについての報告は少ない.特に情意領域の新人教育が未熟な施設では,新人職員の学習は指導者の資質に大きく影響されることとなる.チームの一員として機能するリハビリテーションの支援者を育てる目的であれば,「師の背を見て学べ」的な指導ではなく,組織的な教育が必要である.大転換期と言われる現在の医療業界において,新人教育の充実は重要な課題であり,組織的な教育システムの開発・導入が望まれているところである.
そこで今回は,企業の人事革新の考え方をリハビリテーション医療に修正したモデルを作成することと,所属施設のリハビリテーションチームの一員として機能する専門職員の育成について新人教育を対象に考えてみた.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.