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EuroQolは,健康水準の変化を基数的に評価するためのQOL測定尺度の一つで,英語版を含む5か国語版が同時並行的に開発された後,多くの言語に翻訳され国際的に利用されてきている1).現在のバージョン(EQ-5D)は5項目法(5 Dimension;5D)と視覚評価法(Visual Analogue Scale;VAS)の2部から構成される.日本語版EuroQol開発委員会では,財団法人医療科学研究所の委託研究として,オリジナルの英語版EQ-5Dを日本語に翻訳する作業を進めてきた.そして1997年11月には,日本語版EQ-5DがEuroQol Groupの認定を受けた2).
EQ-5Dの5項目法
EQ-5Dの5項目法では,あらゆる健康状態を,「移動の程度」,「身の回りの管理」,「ふだんの活動」,「痛み/不快感」,「不安/ふさぎ込み」の5つの領域に分解し,それぞれについて3段階に基づいて記述する(表).例えば歩き回るのにいくらか問題があり(レベル2),洗面や着替えは自分ででき(レベル1),仕事や家事活動にいくらか問題があり(レベル2),ひどい痛みや不快感(レベル3)と中程度の不安(レベル2)がある人の健康状態は,「21232」と記述される.5項目法では,全部で3の5乗,つまり243の健康状態を弁別することができる.EuroQolの効用値換算表(タリフ)を用いることにより,5項目法の243の組み合わせのそれぞれについて,死亡を0,完全な健康を1とした間隔尺度上で表されたQOLスコア(効用値)に換算することができる.
日本における一般人を対象とした面接調査により,日本語版EQ-5Dの回答から日本固有の効用値に換算する換算表も完成している3,4).
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