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はじめに
時計台病院では平成14年3月から回復期リハビリテーション病棟の運用を開始したが,これと同時にリハビリテーションのクリニカルパス(以下,パス)の運用も開始した.したがって,パスの運用実績は1年しかないが,今回は,当院のパスの脱落・逸脱・バリアンスを調査,検討したので報告する.
パスは計画的で効率的な医療プログラムを実施する目的で導入されるものであり,近年多くの診療科でパスが作成されている.パスの作成は多いが,パスを実行するためにどのような取り組みをして,パスを導入して何が変わったのかについての報告は少ない.特にリハビリテーション医療のなかでは,機能回復・能力回復の程度や在院日数の削減,在宅復帰率の向上がリハビリテーションの成果として評価される傾向があり,パスの効果的運用とは在院日数や在宅復帰率の変化で検証される可能性がある.
本来パスの効果的運用はリハビリテーションの効果対費用で評価されるべきであり,リハビリテーションの効果が同じとすれば,回復期リハビリテーションの経費は在院日数に比例相関することが分かっているので,効果的なパスの運用は“不必要な在院日数の削減”と言い換えることができる.このことは“patient flow management”と近い概念であり,リハビリテーション医としての重要な役割であると言える.
今回はパスを利用した結果から,脱落,逸脱およびバリアンスの発生状況を調査し,同じ脳血管疾患でも発症初期からパスを利用した場合と途中からパスを導入した場合の違いを比較し,さらに脳血管疾患と整形外科疾患とを比較してパスの効果的運用(patient flow management)に必要な用件を検討する.
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