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はじめに
整形外科疾患の術後リハビリテーションは,早期回復,早期社会復帰を目指してさまざまな工夫が行われている.リハビリテーションの内容は回復期間だけでなく治療成績そのものを左右する重要なものとなるので,手術方法を含む治療体系の一環として十分な検討が加えられなければならない.近年,クリティカルパスの導入により,多くの疾患に対して看護やリハビリテーションなど臨床各部門の知恵を出し合って,治療効率を上げる工夫が行われている.また,病院経営の面から急性期疾患を扱う施設では入院期間の短縮が急務ともなっている.
われわれは以前より,さまざまな整形外科疾患の術後リハビリテーションについて適宜検討を加え,入院期間の短縮を図ってきた.なかでも人工股関節置換術は手術が比較的画一的で,同じリハビリテーションプログラムを施行しやすいため,基準となるプログラムを作成し,それに従ってリハビリテーションを施行してきた.
当院における人工股関節置換術のリハビリテーションプログラムの変遷を図1に示す.1985年まではセメント使用のCharnleyタイプの人工股関節のみを用いていたため,後療法において免荷は行っていなかった1).1986年にセメントレス人工股関節を導入した当初は,動物実験2)から骨形成による固定性が得られるとされる6~8週程度免荷を行っていた.セメントレス人工股関節の長い経験を有するEnghらも6週は部分荷重を推奨していた3).しかし,その後の人工股関節デザインの改良により,良好な初期固定が期待されるようになり,われわれの施設では徐々に荷重時期を早めていった.これは早期荷重が長期的な固定性に悪影響を与えないという実験的な根拠に裏付けられたものではないが,早期回復を実現するために,慎重に段階的に荷重を早めていったものである4).
その後,アパタイトコーティングステムを導入し,さらに早期固定の信頼性が高まったため5),1996年より術後のリハビリテーションにおいて免荷の指示をなくした4).すなわち,疼痛の許す範囲で荷重を進め,むしろ積極的に荷重するプログラムとした.その結果,入院期間は6週から4週へ短縮したが,さらに2001年より3週のプログラムを導入した.今回はこの3週入院プログラム実施上の問題点,工夫などについて検討した.
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