Japanese
English
特集 神経因性疼痛
四肢切断後の幻肢痛
Phantom pain following limb amputation.
永井 朝子
1
,
岡島 康友
1
Asako Nagai
1
,
Yasutomo Okajima
1
1杏林大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyorin University School of Medicine
キーワード:
切断
,
幻肢
,
幻肢痛
Keyword:
切断
,
幻肢
,
幻肢痛
pp.431-436
発行日 2003年5月10日
Published Date 2003/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100762
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
幻肢とは
四肢切断者における幻肢では,断端部にすでに失われた四肢が切断後も残存しているような感覚がある.幻肢は有害とは言えないが,日常生活や義肢装着に影響を与えることも多い.幻肢のメカニズムについては古くから多くの研究がなされてきており,いくつかの説があげられている.幻肢の動きに対しては,脳のbody imageが関係するとRamachandranは述べている.「body image」という言葉は,イギリスのBrainとHeadが時間的空間的な身体の内的なイメージと記憶を表現する方法として考案した言葉である.幻肢がみられるようになるのは8歳頃からの切断と言われており,15歳頃にはbody imageが完成すると考えられている12).
通常,手を動かそうとしたときには運動野へ刺激が送られるが,その他にbody imageをもつ頭頂葉にも刺激が送られる.運動野からの刺激で手が実際に動くのを頭頂葉へフィードバックし,運動が調節されている.そのため,切断者が幻肢を動かそうとしたときには,運動中枢のほかに頭頂葉にも刺激が送られ,body imageとして幻肢を動かす感覚が生じると考えられている1).
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.