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講座 神経変性疾患2
多系統萎縮症―オリーブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,Shy-Drager症候群
Multiple system atrophy-olivopontocerebellar atrophy, striatonigral degeneration, Shy-Drager syndrome.
北 耕平
1
Kouhei Kita
1
1北神経内科平山記念クリニック
1Hirayama Memorial Kita Neurologic Clinic
キーワード:
多系統萎縮症
,
オリーブ橋小脳萎縮症
,
線条体黒質変性症
,
Shy-Drager症候群
Keyword:
多系統萎縮症
,
オリーブ橋小脳萎縮症
,
線条体黒質変性症
,
Shy-Drager症候群
pp.145-150
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100748
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多系統萎縮症multiple system atrophy(MSA)の概念
オリーブ橋小脳萎縮症olivopontocerebellar atrophy(OPCA),線条体黒質変性症striatonigral degeneration(SND),Shy-Drager症候群Shy-Drager syndrome(SDS)の3疾患は,橋核小脳を中心とする小脳求心系と,線条体黒質を中心とする錐体外路系と,脊髄中間質外側核を中心とする自律神経系とに,病理学的に程度の差はあるものの,共通して萎縮・変性病変を有する.このことから,これら3疾患はMSAという病理学的概念で包括して考えられている1).しかし,これらの疾患は異なった臨床像をもち,特に早期にはそれぞれの特徴が著しく異なる2).また,それぞれの原著も全く独立して別個に報告された.
OPCAはDejerineとAndré-Thomas3)により初めて記載され,臨床症状の中核は小脳症状であること,これに対応する病変がオリーブ核,橋核,小脳にあることが強調された.原著では錐体外路の症候も病変も指摘されていなかったが,その後平山ら4)により,本症が小脳症状で発病した後,2~5年経過するとParkinson型の錐体外路症状を呈するようになり,病理学的には線条体黒質系の病変を伴うことが指摘された.さらに筆者ら5)により,発病後1~4年後に,起立性低血圧,発汗低下などの自律神経症状が加わることが指摘された.
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