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特集 多系統萎縮症—特にShy-Drager症候群を中心に
多系統萎縮症の臨床—Shy-Drager症候群を中心に
Clinical Features of Shy-Drager Syndrome:Comparison with Olivo-ponto-cerebellar Atrophy and Striato-nigral Degeneration
平山 惠造
1
,
北 耕平
1
Keizo Hirayama
1
,
Kohei Kita
1
1千葉大学医学部神経内科
1Department of Neurology, School of Medicine,Chiba University
pp.637-645
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205540
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1.MSAの概念
今日,MSAの概念は人によって解釈を異にするが,筆者らは,これを提唱したGrahamとOppenheimer8),BannisterとOppenheimer3)のそれに従って,橋小脳系,線条体黒質系ならびに脊髄中間物質外側核系の病変を有するOPCA,SND,およびSDSを含む包括的な病理学概念と理解している。
DejerineとAndre-Thomas (1900)6)がはじめてOPCAを表わしたときは,橋,小脳,オリーブ核病変とそれに対応する小脳症状とを強調した。しかしながら,筆者ら14)が既に指摘したように,原著においては中脳,大脳基底核についての検索の記載がなく,臨床経過をよく読むと筋強剛の存在を汲み取ることができるのに,錐体外路系病変については触れられることなく済まされている。その後いくつかの病理学的な報告7,21,24)によってOPCAに線条体黒質系の病変の合併することが判明して来たが,臨床的にはあまり重視されることなく最近に至った。筆者ら14)は,OPCAではある期間(多くは2〜5年)を経ると筋強剛などの錐体外路症状が出現することを指摘し,臨床的にも錐体外路障害に注目すべきであるという立場をとって来たが,今日我が国においては通常,OPCAは臨床—病理学的に橋小脳系と線条体黒質系の障害を有するものであるとされるに至っている。
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