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はじめに
リハビリテーション領域において,不整脈は頭を悩ます合併症の一つである.訓練現場で問題となる点は,不整脈患者を訓練させて良いのかどうか,また訓練して良いとすればどこまでどの程度動かして良いかということである.それには,まず訓練禁忌とする不整脈や直ちに処置を開始しなければならない不整脈について理解しておくことが重要である(表1).そして患者の病態の理解が必要となる.特に基礎心疾患の有無が大事である.
① 症状の把握:めまい,ふらつき,失神,動悸,息切れなど
② 既往歴:突然死家系や不整脈事故の有無
③ 基礎心疾患:虚血性心疾患,心不全,心筋症,弁膜症など
④ 心電図所見:3分間12誘導心電図,運動負荷心電図,ホルター心電図
⑤ 電気生理学的検査(これは不整脈専門家が行うので必ずしも必須ではない)
これらにより不整脈の重症度を把握することが基本となる.
その後,運動療法・作業療法という身体活動が不整脈にどのような影響を及ぼすかを考慮して指示を出すことになる.つまりリハビリテーションにおいては,運動療法による不整脈増悪を判断しなければならない.運動による不整脈発生の機序として,自動能亢進,撃発活動(triggered activity),リエントリーなどが知られている.運動に伴う交感神経系の緊張や心筋虚血はこれらすべての機序に対して誘発的に作用する.一方,運動中の交感神経の緊張に伴う心拍数増加は,不整脈に対して抑制的に作用することが知られている.運動終了後の交感神経系活動の消退と迷走神経活動の再興奮は不整脈出現に関与する.
本稿では,不整脈の詳しい機序や治療法は成書に譲ることとして,リハビリテーションにおいて最低限知っておきたい不整脈の知識を述べることとする.
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