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はじめに
身体障害者福祉施設には,①作業能力や技能修得などを目的として指導や更生訓練を行う更生施設,②介護を受けて,または自立して生活を営むための生活施設,③雇用困難または生活の困窮する障害者を対象とした作業施設,④障害に応じたスポーツ,リクリエーション,デイサービスなどさまざまなサービスを提供する地域利用施設がある(表1).
身体障害者福祉施設の現状
1.更生施設
更生施設には,それぞれ障害別に,肢体不自由者更生施設,視覚障害者更生施設,聴覚・言語障害者更生施設,内部障害者更生施設があり,障害内容に応じた機能訓練,職業訓練,更生指導を行っている.2003年度の福祉制度の変更による措置費制度から支援費制度への変更に伴い,重度身体障害者更生援護施設と肢体不自由者更生施設の区別がなくなり,この二者は統合され,障害程度によりA,B,Cの3種類の区分に基づき支援費額が支給されることとなった(表2).この変更後も,施設の内容に関する基準は過去のものが残ったまま,支援費は大幅に引き下げられるなど,更生施設の実態を反映しておらず,十分整備されたものとはなっていない.利用期間は,利用者証の有効期限が3年となっており,この期間内で調整していくものと考えられる.現時点では,肢体不自由者更生施設の役割は,肢体不自由者に対して家庭復帰に必要な日常生活能力の回復に重点をおいたリハビリテーション,相当程度の作業能力を回復させる更生訓練を行うこととなっている.
2001年度では肢体不自由者更生施設は36施設,重度身体障害者更生援護施設は73施設となっていたものが統合され,2003年度では肢体不自由者更生施設79施設となっている(以下,統計資料はWAM NET支援費事業者情報による).
視覚障害者更生施設は全国で16施設あり,あんま,マッサージ指圧師,はり師および灸師など職業についての知識技能,訓練を行う施設で,入所期間は2~5年とされている.
聴覚・言語障害者更生施設は,国立身体障害者リハビリテーションセンターと東京都聴覚障害者生活支援センター,京都市聴覚言語障害センターの3か所となっており,聴覚障害者の聴能訓練,生活訓練,職業前訓練を行っている.
内部障害者更生施設は,循環器,呼吸器,腎臓機能障害者に対して医学的管理の下に更生に必要な指導,訓練を行う施設で,入所期間は原則として1年とされている.全国で16か所となっている.内部障害者においては,腎臓障害者の透析通院など医学的な定期的管理が必要であることが,就労に関して障害となることが多く,その調整が就労を継続するうえで重要となっている.このため,入所してまで職能訓練を受けたいというニーズは少なく,社会的更生目的の入所者は少なくなっている.
当埼玉県総合リハビリテーションセンターでも過去18年に亘って内部障害者更生施設を運営してきたが,年間通してその利用は0~1名であり,2002年度一杯で廃止し,現在は,肢体不自由者更生施設の弾力的運営で対応を図っている.
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