Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ウイニング・パス」―車椅子バスケットボールに宿る共同と平等の思想
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.999
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100655
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車椅子バスケットボールといえば海外では国民的スターを生み出すほどの人気スポーツ.たとえば,「ライブ・フレッシュ」(スペイン,97年)に登場する元刑事の選手はスーパースターとして燦然と輝いていた.日本では考えられないメジャーぶりにびっくりしたものだ.しかし,ここへきてひっそりとした上映形態ではあるが「ウイニング・パス」(監督/中田新一).人気爆発の導火線になってもおかしくないほどの出来のよさである.
健太(松山ケンイチ)は北九州市の高校に通う17歳.バスケ部でレギュラーを張るも監督とは折り合いが悪い.家に帰ればオヤジと喧嘩.そんなムシャクシャをバイクで解消しようとしたがよもやの転倒事故.一命はとりとめたものの脊髄損傷による下半身不随.当然ながら前半は障害受容の物語.ショック,怒りと悲嘆,自暴自棄というプロセスを経ながら車椅子バスケに遭遇することで自身を再起動させる.後半は車椅子バスケのハードでありながらも娯楽性に満ちた世界を描く.
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