Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
『平家物語』の「殿上闇討」―すがめの忠盛
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.794
発行日 2004年8月10日
Published Date 2004/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100637
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柳田国雄は『日本の伝説』のなかで,わが国では古来より片目の人物に対する畏敬の念がみられると指摘しているが(総合リハ32(6):594,2004),『平家物語』(市古貞次訳,日本古典文学全集29,小学館)の「殿上闇討」には,平清盛の父忠盛が公卿たちに「すがめ」をからかわれるという場面がある.
忠盛が備前守だったころのことである.忠盛が鳥羽院の御願寺の得長寿院を造営して,三十三間の御堂を建てたところ,これに感心した鳥羽院は,忠盛を但馬国の国守に任じたのみならず,清涼殿への昇殿を許した.
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