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摂食,嚥下は子どもの発育にとって重要な要素の一つである.同時に,食事は,家族のコミュニケーションの場として,また,育児の喜びを感じる時間として,日常のなかでとても貴重な意味をもつイベントと言える.したがって,使用する食器や自助具なども機能的に優れているだけではなく,楽しさを感じられるものを選ぶことが大切であると考えられる.しかし,食器や自助具などへのニーズは子どもによって異なり,また国内で紹介されている商品の数も限られているため,希望に沿ったものを探すことが難しい.その点,海外においては,訓練を育児の一部として生活のなかに取り込み,できるだけ楽しもうという考えが早くから根付き,その取り組みを応援する生活・訓練グッズが,種類,デザイン共に数多く揃っている.これまで,それら海外製品に関する情報が非常に限られていたが,今年になって障害児童のための輸入訓練グッズのカタログiWANT1)が刊行されるなど新しい動きが始まっており,選択肢が大きく広がろうとしている.
ここでは,そのような輸入品のなかから数点を選び紹介する.まず,首の部分の角度が自由に変えられるスプーン(図1)である.この製品は,すくった食べ物を手首を曲げずにスプーンの先端から口へ運ぶことができるように,金属製の首の部分の角度を自由に変えられる.これにより食べ易さや,訓練の効果があがることが期待できる.また,この製品の柄の部分は太めで楕円形の断面形状をしているため,握力の弱い子どもでも握りやすく,手によく馴染むゴム素材と一段とクッション性を高めるために握りの前部に円周方向に無数に刻まれた細い溝により滑りにくくできている点も,使う身になって考えた設計として評価できる.
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