Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
『源氏物語』の大尼君―平安朝の痴呆性老人
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.884
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109320
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『源氏物語』(玉上琢彌訳,角川文庫)の「手習」の巻には,大尼君という,痴呆性老人を思わせる女性が登場する.
大尼君は,横川の僧都の母親で,80歳を越す高齢だが,ある時,この家を訪れた中将が笛を吹いているのを聞きつけて,姿を現わす.しかし,大尼君は,おそろしいふるえ声で話し,普通の老人と違って昔のことも話さない,孫娘の婿にあたる中将を見ても,「誰だとも思い出さない」様子である.
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