Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
『今昔物語』の染殿の后—躁病的な特徴
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.972
発行日 2015年10月10日
Published Date 2015/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200398
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平安時代後期に成立した説話集『今昔物語』巻20(福永武彦訳,筑摩書房)の第7話『天狗に狂った染殿の后の話』には,文徳天皇の御后で,太政大臣・藤原良房の娘にあたる染殿の后の心の病が記されている.
世に並びなき美女であった染殿の后には,「日ごろ物怪にわずらわされる御病」があってさまざまな加持祈祷が行われたが,一向に効き目がなかった.そのため,金剛山の尊い聖人に祈祷を頼んだところ,たちまち霊験が現れて,「一両日のうちに拭うように快癒した」.
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