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はじめに
神経細胞はほぼブドウ糖のみをエネルギー源としており,脳では血流によって運ばれるブドウ糖と酸素が消費される.酸素はヘモグロビンと結合して酸化ヘモグロビンとなって呼吸により取り込まれるが,各組織で酸素が消費されると酸化ヘモグロビンは還元ヘモグロビンとなり,その代謝の大きさによって血中の酸素飽和度が変化する.
ある課題によって賦活された部位では,神経細胞の活動に伴う電気的信号が捉えられるだけでなく,その部位ではエネルギーの消費が増大し,血流量や血液量が増加する(neurovascular coupling).この機序の詳細は不明であるが,興奮性と同様に抑制性の神経活動でも代謝や血流は増加するため,局所での血流量増加は,その部位でのすべての神経活動の増加を反映していると考えられている.
課題施行時のこのような電気的活動,血流や代謝の変化を,頭部に傷をつけずに測定することによって,賦活された部位を画像化するのが脳機能画像検査である.近年の新たなコンピュータ技術の開発と著しい進歩により,脳機能の局在や活動性をほとんど非侵襲的に評価することができる画像検査が臨床応用されている.リハビリテーション医学領域においても,さまざまな脳機能画像検査が中枢神経疾患における運動麻痺,感覚障害,高次脳機能障害などの病態評価やその機能回復メカニズムの解明などに用いられている.
今回は,これらのうち,機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging;fMRI),単光子放出断層撮影法(single photon emission computed tomography;SPECT),陽電子放出断層撮影法(positron emission tomography;PET),近赤外線スペクトロスコピー(near infrared spectroscopic topography;NIRS),脳磁図(magnetoencephalogram;MEG)を取り上げ,それぞれの検査について,測定の原理や方法,利点と欠点などの概要を総括的に解説する.
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