Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
デカルトの「障害受容」―『方法序説』第三部より
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.378
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100568
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デカルト(1596~1650)といえば西欧合理主義の代名詞のような存在であるが,『方法序説』(野田又夫訳,中央公論社)には,彼もまた東洋的な諦念思想の持ち主であったことを示す一節がある.
1637年,デカルトが41歳の年に発表した『方法序説』第三部には,「できるかぎり幸福に生きうるために,私は暫定的にある道徳の規則を自分のために定めた」として,次のような3つの生き方が述べられている.すなわち,もっとも穏健な意見に従って自分を導くという第一格率,実際の行動においては断固たる態度に出て後悔しないという第二格率,そして,「運命よりもむしろ自己にうちかつことにつとめ,世界の秩序よりはむしろ自分の欲望を変えようとつとめる」という第三格率である.
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