一頁講座 ユニバーサルデザイン
建 築
髙橋 儀平
1
1東洋大学工学部建築学科
キーワード:
建築物
,
市民運動
,
評価と継続
,
手法の概念
Keyword:
建築物
,
市民運動
,
評価と継続
,
手法の概念
pp.377
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100567
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- 文献概要
ユニバーサルデザインは,住居や建築の分野から発生したものではあるが,建築のユニバーサルデザインは余りスピーディに展開しているとは言い難い.その理由を端的に言えば,住居や建築物はプロダクト製品のように利用者の好みに合わせて多くの選択肢を用意することができないからである.家具や家電製品であれば,買いたいものとそうでないものが区分できる.しかし建築物ではそう簡単ではない.例えば,検討に検討を重ねてようやく住宅を購入できたとしても,すべての空間や設備が理想的になっているとは限らない.家族によってニーズも好みも異なるであろう.その結果,利用者の利用範囲を狭め,絶えず利用者からの批判を受けることになる.
しかし,公共的な建築物においてはハートビル法や福祉のまちづくり条例の進展によって,これまでの10年間である程度下地ができつつあるので,選択肢だけではない共通のデザイン手法もみえ始めている.少なくとも新しい公共建築物であれば,利用者にとって全く利用できないなどという間違いは生じていない.公共建築物はだれもが公平に利用できることを目指した建築物であり,もっともユニバーサルデザイン手法を導入しやすいと考えられる.
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