綜説
第三の光受容器ipRGC
羽鳥 恵
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室,JSTさきがけ
キーワード:
概日時計
,
メラノプシン
,
非視覚応答
,
ipRGC
,
mRGC
,
オプシナマイド
Keyword:
概日時計
,
メラノプシン
,
非視覚応答
,
ipRGC
,
mRGC
,
オプシナマイド
pp.797-802
発行日 2017年8月5日
Published Date 2017/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000093
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生物の体内には,自律的に時刻を刻む時計が内在している。たとえば睡眠・覚醒や空腹を感じるタイミングなどにみられる一日周期の生体リズムは概日(がいじつ)リズム(circadian rhythm)と呼ばれ,このリズムを制御する体内時計を概日時計(circadian clock)という。外界からの時刻情報が全くない環境,たとえば時計やテレビもなく窓もない部屋で生活した場合,個人による差はあるが平均してヒトは約24 時間10 分おきに自然に目覚めるという「一日」を繰り返す。このように生物が内在的に持つ時計機構の周期は24 時間からわずかにずれており,これが概日(おおむね一日の)時計と呼ばれるゆえんである。日常生活においては,地球の自転・公転に由来する24 時間周期との差を補正するために,生物は外からの情報や刺激を利用する。つまり概日時計は約一日周期で自律的に発振するだけではなく,光や食事などの外界からの刺激を巧みに利用して時刻合わせを行っている。本稿では概日時計の光調節において中心的な役割を果たす内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)について,筆者らの知見を中心に解説する。
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