Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ジョゼと虎と魚たち」―詩的世界に昇華する障害女性と過ごした日々
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.379
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100569
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障害者関連映画の前売券については時折販売促進に協力しており,いつものように20枚ほど注文したのであるが,公開数日前にして売り切れというまさかの回答.私にとってはタイトルすらきちんと憶えられない作品であったにもかかわらずだ.
「ジョゼと虎と魚たち」(監督/犬童一心)は車イス生活ならぬ古い乳母車生活を送っている若い女性ジョゼ(池脇千鶴)が主人公.乳母車ということからもわかるように障害者福祉制度の外で生活している.一緒に暮らす老女がジョゼを世間の目に触れさせないようにしているからだ.ゆえに散歩も通行人がいない明け方ごろ.もちろんそんな時間でも一人や二人は歩いているだろう.麻雀屋で深夜のアルバイトをしている学生の恒夫(妻夫木聡)がその一人であった.坂道を転げ落ちた乳母車に近寄り,彼女の安否確認をしたのが,恋の始まり,というよりは付き合いの始まり.燃え上がるようなものもなく,スタンスを決めかねているうちにズルズルとした関係になっていく.
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