講座 リハビリテーション専門職のための法律知識 2
医療紛争・訴訟の防止―被害者である患者の事故の受容
前田 正一
1
,
久松 憲明
2
Shouichi Maeda
1
,
Noriaki Hisamatsu
2
1東京大学大学院医学系研究科・医学部(生命・医療倫理学ユニット)
2九州大学大学院医学系学府(医療経営管理学専攻)
1Graduate School of Meicine and Facuky of Medicine, the University of Tokyo
2Faculy of Medical Scieces, Kyushuu University
キーワード:
医療紛争
,
医療訴訟
,
事故の受容
,
インフォームド・コンセント
,
事故への対応
Keyword:
医療紛争
,
医療訴訟
,
事故の受容
,
インフォームド・コンセント
,
事故への対応
pp.145-150
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100543
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はじめに
5年前に発生した横浜市立大学病院における患者取り違え事故をきっかけとして,今日,わが国においても広くリスクマネジメントの重要性が認識されている.ただ,こうしたリスクマネジメントの取り組みを行ったとしても,事故はゼロにできるものではない1).そうであれば,医療事故が発生した場合,どのような条件が整えられていれば,事故に遭遇した患者はせめても生じた結果を受容することができるのであろうか.
この患者の事故の受容に最も大きな影響を与えるものは,言うまでもないが医療機関による事故への「適切な対応」である2).しかし,こればかりではなく,患者がその医療をあらかじめ真に納得して受けていたかも,大きく関係すると思われる.たとえば,不可抗力による事故が発生した場合,それについてあらかじめ十分な説明が行われていなければ,事故後発生した結果は不可抗力によるものであったと説明されても,患者はその結果を受容できないであろう.
そこで本稿では,まず,「インフォームド・コンセントの(法)原則」について解説し,それに続き,「事故への適切な対応とは何か」について考察する(前田).そして,最後に,これらの解説の具体的内容として,「リハビリテーションとの関連で想定される事例」を2つ例示する(久松).
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