特集 消化器内視鏡診療における鎮静
3.トピックス(6)鎮静が関係した訴訟事例から学ぶ
日山 亨
1
1広島大学保健管理センター
キーワード:
鎮静
,
事故
,
医療訴訟
Keyword:
鎮静
,
事故
,
医療訴訟
pp.97-101
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002906
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本稿では,令和元年以降に判決が出された内視鏡の鎮静が関係した二つの訴訟事例を紹介し,鎮静に関する注意点を医療者の立場から検討した.一つはEVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)の際の鎮静後死亡した事例である.裁判所は,多量のミダゾラムを投与するに際しては,なるべく緩徐な方法をとるか,そうでなければEVLの続行を中止すべきであったと判断し,病院側に損害賠償の支払いを命じた.もう一つはEPLBD(内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術)の際の鎮静後死亡した事例である.この事例で,裁判所はホリゾンの投与については問題ないとしたが,担当医師はEPLBDを行わずに経過観察にする余地について説明すべきであったとして,病院側に慰謝料の支払いを命じた.重大事故の防止のために,体動が激しい場合などでの鎮静薬追加投与は,とくに高齢患者や基礎疾患のある患者に対しては,小刻みに,そして,できるだけ緩徐に行う必要がある.
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