Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「カミュなんて知らない」―「不条理殺人」を映画制作で追体験しようとするが
二通 諭
1
1石狩市立花川南中学校
pp.699
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100346
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89年「レインマン」以降,90年代障害者映画の主人公たちは,知的障害,視覚障害,聴覚障害,肢体障害とその障害輪郭は実に明瞭であった.ところがここへ来てグレーゾーンとも称される特別なニーズを有する人々を主人公にする作品が目立ってきた.翻ってわが国の障害児教育,障害者福祉の動向をみても特殊教育から特別支援教育への転換,発達障害者支援法の施行など,LD,ADHD,高機能自閉症・アスペルガー症候群等の軽度発達障害者も支援対象として認知されるようになってきた.まさに映画は社会を写す鏡なのだ.
「カミュなんて知らない」(監督/柳町光男)は,あえて「アスペルガー症候群」という言葉の使用を避けている.少年犯罪とくればアスペルガー症候群という図式と「診断名」に還元して納得するという昨今の風潮に与しないという態度がみてとれる.
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