原著
ウェーブレット変換を用いた前十字靱帯再建術後患者のピークトルク発揮時の筋電図周波数解析
山田 英司
1
,
加藤 浩
2
,
田中 聡
1
,
森田 伸
1
,
田仲 勝一
1
,
宮本 賢作
3
,
辻 伸太郎
4
,
真柴 賛
3
,
五味 徳之
3
,
森 諭史
3
,
乗松 尋道
3
Yamada Eiji
1
1香川医科大学医学部附属病院リハビリテーション部
2吉備国際大学保健科学部理学療法学科
3香川医科大学整形外科
4香川県立白鳥病院整形外科
pp.999-1004
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100924
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前十字靱帯(anterior cruciate ligament:以下ACL)再建術後のリハビリテーションにおいて,大腿四頭筋の筋力低下は重要な問題の一つである.筋力は筋の断面積に比例するといわれており1),ACL再建術後の筋力に関する多くの研究では,筋萎縮と筋力の関係,すなわち筋の形態学的な視点から検討が行われてきた2,3).再建術後の大腿四頭筋筋力はスポーツ復帰後も低下しているという報告が多く4,5),内側広筋を中心とした大腿四頭筋の筋萎縮が再建術後の筋力低下の原因の一つであると考えられている.
近年,活動性の減少による筋力低下は筋萎縮のみでなく神経系の機能低下も影響を及ぼしていることが明らかにされてきている.Suzukiら6)は10日から20日間のベッドレストによって生じた筋力低下の割合は,筋量が減少する割合以上に生じていたと報告している.また,金子ら7)はACL再建術後4か月の時点では,大腿四頭筋筋力と大腿周径との間に比例関係が成り立っていないことを報告しており,筋の形態学的変化のみでなく神経系の機能の変化も考慮する必要があると考えられる.臨床においては,逆に筋萎縮が残存しているにもかかわらず筋力の左右差をほとんど認めない,すなわち筋萎縮の程度と筋力が解離した症例も認められ,正常筋と比較すると再建術後の筋では,神経・筋機能が変化し,運動単位の動員様式や発火頻度などの活動様式が異なっていると考えられる.
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