Japanese
English
特集 排便障害とリハビリテーション
頸髄損傷者の排便リハビリテーション―動作と機器
Quadriplegics rehabilitation for defecate:movement and supporting equipment.
玉垣 努
1
Tsutomu Tamagaki
1
1神奈川リハビリテーション病院作業療法科
1Qccupational Department, Kanagawa Rehabilitation Hospital
キーワード:
排便姿勢
,
移乗動作
,
支援機器
Keyword:
排便姿勢
,
移乗動作
,
支援機器
pp.135-143
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100042
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はじめに
頸髄損傷(以下,頸損)者の排便管理は,当事者もしくは家族にとってセクシャルな問題と同様に人前で公言できにくく,加えて,心底困っている大問題である.便失禁の頻度は,尿失禁に比して比較的少ないが,臭気や衛生面において周囲の人を含めて格段の心理的ダメージがある.便秘と下痢を交互に繰り返していくような場合は,下剤の量や食事を調整しても排便管理は難しく,意図的に便秘の傾向をつくる人が多い.結果的に便秘を長期間繰り返し,腸に機械的な刺激を続ける問題と肛門周囲の問題がでてくる.心理的にも,退行現象や羞恥心や屈辱感などのダメージとともに無力感やネガティブ志向の根源になりやすく,外出時の失禁などへの恐怖感や失禁時の他者への申し訳けなさなどにより社会参加の機会も失ってしまう可能性がある.そのため排便管理に関して当事者は,多少困っていても今まで行ってきた生活パターンを変更することに抵抗があり,改善や今までと異なる方法には手が出しにくい状況にいる.
頸損者の排便障害の基本的な考え方は脊髄由来の便排出機能障害1)と言われているが,便秘傾向や胃腸が弱く下痢気味だったなどの障害前の身体傾向が大きく影響し,頸損といってもその特徴はさまざまで,管理の方法も本来多様であるべきである.20年程前より故宮崎一興先生を中心に,排便管理の選択肢を広げるための排便促進器や褥瘡予防の便座クッションの研究開発を進めてきた.今回,頸損者の排便管理の一助になることを願い排便リハビリテーションについていくつかの提案をしていく.
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