連載 難しい症例のみかた・第6回【最終回】
難しい症例のみかた—症例報告の意義と方法
内山 靖
1
Yasushi UCHIYAMA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科
pp.1476-1478
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203290
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症例を共有する意義
症例を共有するための方法の一つとして「症例報告」がある.臨床でのカンファレンス,新人研修,地方会での発表に加えて,国際誌の原著論文まできわめて多岐にわたる.
言うまでもなく,1例1例は固有の存在でありその価値に軽重はない.各症例には,教科書や科学論文で示されている一般論が当てはまらない部分があることは自明である.対象者に最大公約数の比率が高ければ典型例と呼ばれる.日常の臨床ではその診かたを基本として,経験と知見に基づく省察を通じて臨床推論と技術を精緻化していく.そのうえで,対象者固有の要素を際立せることで柔軟な対応と新しい挑戦が可能となる.
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