コーヒーブレイク
院内感染の報告の難しさ
K H
pp.1460
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205523
- 有料閲覧
- 文献概要
今年の三月ごろのことだが、ある大手 のテレビ局から最近臨床で問題となって いるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)について取材を受けた。このテレビ局は今までにも医療問題を取り上げてきた実績があり一応話を聞くことにした。
しかし話を聞いて驚いた。彼らはすでにストーリーを作りあげ、臨床での第三世代セフェム剤の乱用がMRSAを生み出し、このMRSAによる院内感染が現在爆発的に流行しているとして、MRSA感染症は一種の医療過誤と断定していた。このため取材の要点は、病院内に院内感染対策防止機構が完備しているか、MRSA感染を生じた患者や家族へ主治医がどのように対応しているか、にあった。当院が取材の対象となった根拠としてわれわれが学会誌に報告してきた当院のMRSAの分離状況に関する論文を持ちだしてきた。つまり自分たちが勝手に作ったストーリーの実例として取材に応じてきた病院を利用しようとするものであった。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.