Japanese
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症例報告
慢性疼痛患者に対する認知行動療法的介入の経過—理学療法士のかかわりを中心に
Progress of cognitive-behavioral therapy intervention for a chronic pain patient: focusing on the involvement of physical therapists
佐藤 雅恭
1
,
西尾 大祐
1
,
本田 哲三
1,2
Masataka SATO
1
,
Daisuke NISHIO
1
,
Tetsumi HONDA
1,2
1医療法人靖和会飯能靖和病院リハビリテーション科
2社会医療法人栗山会飯田病院リハビリテーション科
キーワード:
慢性疼痛
,
理学療法
,
認知行動療法
,
中枢性感作
Keyword:
慢性疼痛
,
理学療法
,
認知行動療法
,
中枢性感作
pp.1383-1388
発行日 2021年12月15日
Published Date 2021/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202527
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要旨 慢性腰痛患者に対する認知行動療法に基づいた介入における,理学療法士のかかわりと身体機能の変化を報告する.症例は45歳の男性で交通事故後に腰背部の疼痛発作が出現し,4年間マッサージや物理療法を受けたものの改善しなかった.当院初診から1か月間は,週1回外来で投薬と身体・行動心理学的な評価を実施し,次いで3か月間は認知行動療法に基づく集学的アプローチを施行した.理学療法部門は弱化筋の賦活,過用筋や防御性収縮のストレス緩和のための運動療法と動作指導,全身のストレッチと筋力トレーニングのホームプログラムを指導した.本経過中,理学療法士は患者のさまざまな訴えへの対応を迫られながらも,否定的な認知の改善に向けて,痛みを肯定も否定もしない中立的な立場を心がけ,行動の変容をサポートした.その結果,自覚的な疼痛が軽減し身体機能も著明に向上した.認知行動療法的対応は,慢性疼痛への理学療法に有用な手法となり得る.
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