連載 理学療法士が知っておきたいヘルスケア産業・8
フレイル予防事業
奈良 毬那
1,2
,
杉江 正光
2
,
原田 和昌
2
,
井藤 英喜
2
1一般社団法人日本健康寿命延伸協会
2地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
pp.967
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202015
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「人生100年時代」,医療や介護の進歩により,多くの方が長寿を全うできる時代となった.最近では,自立した生活をできるだけ長く過ごせる健康寿命の重要性が指摘され,超高齢社会では社会保障費の増大を抑制することを目的とした「予防」の取り組みが非常に重要と考えられる.なかでも近年,フレイル予防が注目されている.一般社団法人日本健康寿命延伸協会(以下,当協会)では,疾病予防,医療費増大の抑制,さらには健康寿命といった観点からフレイル予防民間サービスを展開し,その普及や発展・推進に取り組んでいる.
当協会は,東京都健康長寿医療センターが2011年から高齢者の「健康寿命の延伸」や「フレイル予防」を目的として取り組んできた高齢者健康増進センターの運営業務を受託し,地域在住高齢者を対象に ① フレイル評価,② 運動,③ 遠赤外線低温サウナ(運動困難なフレイル高齢者を対象)の3つのプログラムを提供している1,2).これらは,フレイル評価による「フレイル状態の可視化および早期発見」,運動や遠赤外線低温サウナプログラムによる「心身機能の維持・向上」および「フレイルの進行防止・改善」といったフレイル予防を主な目的として行われ,プログラムが有効である機序に関するエビデンスの構築も進めている1〜3).さらには,フレイル評価により適正プログラムの推奨や運動時の適切な運動強度の自動算出を医療センターと共同開発し,より安全に効果的なサービス提供が可能となった.
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