書評
—上杉雅之(監修),西守 隆(編集)—「PT・OT入門 イラストでわかる評価学」
堀本 ゆかり
1,2
1国際医療福祉大学 福岡保健医療学部 理学療法学科
2国際医療福祉大学大学院 理学療法学分野/医療福祉教育・管理学分野
pp.681
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201937
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リハビリテーション専門職がまず身に着けるべき臨床能力は,評価,分析,推論,治療技術である.私が入職した1987(昭和62)年当時は,『リハビリテーション医学全書5 測定と評価』(医歯薬出版),現在の第10版よりはるかに薄い『徒手筋力検査法』(協同医書出版社)などが手許にあるくらいで,ようやく翻訳書が出回り始めた時期である.入職とともに十数名の患者さんを担当したが,自己学習をしようにも情報通信技術(ICT)も書物も十分でなく,先輩理学療法士の助言・指導を乞う毎日であった.対応不足や治療の進捗が滞ると容赦なく叱責された.一人前と認めてもらうために日々繰り返す鍛錬こそが,評価眼と介入スキルを得る唯一の方法であった.
その当時はリハビリテーション科専門医が少なく,全国から見学に訪れる若い医師に対して,先輩理学療法士や作業療法士が,評価,治療,補装具などの研修会を行っていた.本来であれば指示を乞うべき医師に対して研修を行う先輩たちの姿はとても誇らしく,いつかは自分もそんな立場になりたいと士気を高めた.憧れそのものであった.
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