ひろば
幻肢痛の謎
奈良 勲
1
,
小嶋 功
2
Isao Nara
1
1広島大学
2神戸学院大学総合リハビリテーション学部
pp.353
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201850
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幻肢痛(panthom pain)とは,切断者の一部の人が呈する痛みである.その語源はラテン語:fantesme,ギリシャ語:phantasma,古フランス語:fantumであるが,幻視・幻聴・幻想・妄想・錯覚・亡霊・実体のない人やものなど多岐にわたる意味がある.さらに,古代インドのサンスクリット語では光る・輝き,古イラン語では白い光・光の放射線などがあり,共通した意味がある.
漢字の意味は,染色した糸を木の枝にかけた状態の図に由来し,実際に存在しないものがまるであるかのようにみえる現象である.また,珍しいもの,混乱させること,はかない人世としての幻世とか「幻」のような人の世の意味もある.一方,変幻自在とは,思いのままに姿を変貌させて自由自在であることの意味もあり,「幻」には,人を困惑させると同時に夢のある「ことば」であると思える.
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