特集 脳卒中患者の上肢に対する理学療法up to date
脳卒中後上肢痙縮に対するボツリヌス治療を併用した理学療法の効果と経過
君浦 隆ノ介
1
Ryunosuke Kimiura
1
1社会医療法人ささき会藍の都脳神経外科病院リハビリテーション部
キーワード:
脳卒中後上肢痙縮
,
ボツリヌス治療
,
チームボツリヌスの重要性
Keyword:
脳卒中後上肢痙縮
,
ボツリヌス治療
,
チームボツリヌスの重要性
pp.681-688
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201601
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はじめに
Laiら1)は,脳卒中後運動麻痺は発症から3か月以降で約55〜75%1)に後遺するとしている.その運動麻痺の回復限界の間接的な原因となる脳卒中後痙縮(以下,痙縮)について,de Jongら2)は,脳卒中発症後3か月以降で約42%に後遺するとしている.これらの報告より,運動麻痺を呈した症例のうち3人に2人が痙縮を後遺していることが推察される.
痙縮は,一般的に運動量が増えてくる回復期以降で発生するイメージが強いが,発症後48時間で10%,10日間で17%と発症早期よりすでに痙縮が発生している2).そのため,欧米医療先進諸国では,ボツリヌス治療を脳卒中後リハビリテーションの補完的治療と位置づけ,すでに一般化されている.ボツリヌス治療だけで痙縮治療が完結するわけではないが,ボツリヌス治療の使い方を知らなければリハビリテーションに役立てることができないため,本稿では痙縮のメカニズムも含め,藍の都脳神経外科病院(以下,当院)の取り組みを中心に説明する.
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