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はじめに
神経系疾患には,脳と脊髄からなる中枢神経と中枢神経から枝分かれしている末梢神経,ならびに末梢神経にコントロールされる骨格筋,平滑筋などをコントロールする自律神経を侵すすべての疾患が含まれる.結果として,神経系疾患には多くの疾患が含まれており,非常に多様な症候がみられる.神経組織の再生は困難なこともあり,多くの神経系疾患は難治性で,いまだ根本的な治療法のない疾患が非常に多い.長寿社会の到来と高齢化の進展に伴い神経系疾患の有病率も増大し,社会に与えるインパクトは甚大となっていることから,疾患の克服が極めて重要,かつ喫緊の課題と言える1).
神経系疾患の克服のためには,発症機構の解明,疾患の進行を抑制する治療法や予防法の開発に加え,神経症候の改善を目的としたリハビリテーション,再生医療を含めた対症療法の開発と有効性の検証が重要となる.
神経変性疾患に対するリハビリテーションは,① 介入の有無にかかわらず機能低下が生じる,② リハビリテーションの効果は介入群と非介入群の機能差分に反映される,③ 症状進行は個体差(個人差)が大きい,④ 長期経過では症状変化のため介入方法の見直しが必要となる,などの理由から患者個人の効果判定が困難であるのが特徴である.
これらの背景や制約から神経系疾患,特に神経変性疾患をはじめとした神経難病に対する理学療法のエビデンスは限定されているが,いくつかの疾患については国内外の関連学会によるガイドラインのなかにリハビリテーションに関する項目が掲載されている.本稿ではパーキンソン病を中心に神経難病に対する理学療法のエビデンスについて,現時点で公開されている疾患別ガイドラインをもとに最近の知見を交えて解説する.
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