特集 神経疾患の現在とこれから
特集のねらい
神経疾患の現在とこれから
﨑山 快夫
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター脳神経内科
キーワード:
神経疾患
,
神経難病
,
治療ストラテジー
,
地域医療
Keyword:
神経疾患
,
神経難病
,
治療ストラテジー
,
地域医療
pp.1212-1213
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_1212
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「神経疾患」という言葉はどこか曖昧なイメージがあるが,具体的に定義すると,脳と脊髄から構成される中枢神経と,そこから出て体中に張り巡らされた末梢神経,ならびに末梢神経にコントロールされる骨格筋・平滑筋などをコントロールする自律神経を侵すすべての疾患を対象としている.したがって,正確に記載すると「脳・脊髄・末梢神経・筋疾患」ということになるが,通常これらをまとめて「神経疾患」と呼んでいる.本特集では神経疾患の現在の診療とこれからの展望について「Overview」「診療の最前線」「研究の最前線」と題して紹介する.
高齢化社会の進展に伴い,神経疾患の有病率は増大してきている.厚生労働省の患者調査によると,1996年の神経系疾患の割合は推計外来患者数の1.6%,推計入院患者数の4.5%であったが,2014年には推計外来患者数の2.4%,推計入院患者数の9.3%とほぼ倍増している.この統計では脳血管疾患は循環器系に分類されており,こちらも加えると2014年の推計外来患者数の3.7%,推計入院患者数の21.4%を占めることになる.要介護の原因疾患という観点では,2016年国民生活基礎調査によると最多の原因は認知症であり,認知症,脳血管疾患,Parkinson病を合わせると要介護の原因の46.6%を占める.
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