特集 変形性膝関節症に対する最新の保存療法
変形性膝関節症の保存療法における可動域—回旋運動を中心に
島田 昇
1
Noboru Shimada
1
1広島大学病院診療支援部リハビリテーション部門
キーワード:
膝関節回旋運動
,
変形性膝関節症
Keyword:
膝関節回旋運動
,
変形性膝関節症
pp.317-325
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201165
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変形性膝関節症の膝関節回旋運動
変形性膝関節症(knee osteoarthritis:以下,膝OA)患者の理学療法を行ううえで,膝関節屈曲伸展方向の関節可動域(range of motion:ROM)を維持・改善することは,日常生活上,大きな屈曲可動域を必要とする日本人にとって,ADLやQOLを維持・向上するために重要な要素であり,国内外いずれのガイドラインにおいても推奨グレードA(行うように強く推奨する)に位置づけられている1,2).
では,内外旋運動においてはどうか? 膝OAにおける異常な運動は矢状面,前額面のみでなく,水平面においても近年明らかにされている.非荷重下において,正常膝では膝関節最終伸展域(約0〜20°)で脛骨が大腿骨に対して約10〜15°外旋する,いわゆるscrew-home movement3〜7)を認めるのに対し,膝OAではその回旋運動が破綻している.佐々木8)は膝関節伸展位での下腿外旋角度が健常膝と比較し,初期のOA患者では約5〜10°減少し,末期OA患者では差を認めなかったとしている.Sistonら9)は人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)前患者を対象に,他動運動時の下腿外旋可動域を比較したところ,健常人が約10°であるのに対して約5°に減少したと報告している.角度の誤差はあるものの,膝OAにおいて非荷重下での伸展位および他動運動時の下腿外旋可動域は減少するようである.
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