発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2003136902
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変形性膝関節症(膝OA)に対する股関節内転・外転筋力増強訓練の効果を明らかにするため,23例に対して膝関節伸展筋力増強訓練に加え股関節内転筋訓練と股関節外転筋訓練を指導し,身体・歩行能力の変化を調査した.また,膝OA患者の歩行時における動作異常が股関節内転・外転筋力によって軽減されるメカニズムを解明するため,18例を対象に立脚初期の側方動揺の発現と股関節筋力の関係を検討した.筋力増強訓練の結果,膝関節伸展筋力の改善の有無に拘わらず股関節内転・外転筋力が改善することによって患者の歩行は歩幅優位に改善した.側方動揺と股関節筋力の関係については,膝関節側方動揺を呈する患者は膝関節伸展・屈曲筋力のみならず股関節内転・外転・伸展・屈曲筋力も弱く,体重支持能力に欠けていた.これらの結果から,歩行時に下肢全体の安定性を増し異常動作を抑制するさいには股関節内転・外転筋力の貢献度が高く,このことに注目した運動療法は病状の進行予防とADLの維持・改善に有効であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002