特集 半側空間無視
半側空間無視に対する脳刺激アプローチ
万治 淳史
1
,
松田 雅弘
2
,
和田 義明
3
,
稲葉 彰
4
,
網本 和
5
Atsushi Manji
1
1埼玉みさと総合リハビリテーション病院リハビリテーション部
2城西国際大学福祉総合学部理学療法学科
3日産厚生会玉川病院脳神経内科
4関東中央病院神経内科
5首都大学東京大学院人間健康科学研究科
キーワード:
半側空間無視
,
USN
,
非侵襲的脳刺激
,
NIBS
,
経頭蓋磁気刺激
,
rTMS
,
経頭蓋直流電気刺激
,
tDCS
Keyword:
半側空間無視
,
USN
,
非侵襲的脳刺激
,
NIBS
,
経頭蓋磁気刺激
,
rTMS
,
経頭蓋直流電気刺激
,
tDCS
pp.875-882
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200997
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はじめに
半側空間無視(unilateral spatial neglect:USN)は大脳半球と反対側の刺激に対して,発見して報告したり,反応したり,その方向を向いたりすることが障害される病態である.右側半球病変患者の約4割に出現し,身体運動やADL,そのリハビリテーションの妨げとなる1,2).このため,USNの改善は脳卒中後患者のリハビリテーションにおける大きな課題であり,これまで多くの治療方法について報告されてきた.
USNに対するアプローチは障害や視覚性注意のメカニズムに基づき,トップダウン方式やボトムアップ方式でのアプローチ3)や非特異的刺激,ボトムアップ刺激,トップダウン刺激,覚度メカニズムの調節,代償メカニズムの調節に分類される4).それらに加え,近年では経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)や経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation:tDCS)といった非侵襲的脳刺激(non-invasive brain stimulation:NIBS)が脳卒中後リハビリテーションの戦略の一つとして研究が進み,運動麻痺に対するリハビリテーションへの適用が進んでおり,USNに対する適用も試みられている5).本稿ではUSNに対するアプローチのうち,このNIBSによるものを紹介する.
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