Close-up 物理療法と運動療法の併用
経頭蓋直流電気刺激と運動療法の併用
松田 雅弘
1
,
山口 智史
2
,
藤原 俊之
1,3
Tadamitsu MATSUDA
1
,
Tomofumi YAMAGUCHI
2
,
Toshiyuki FUJIWARA
1,3
1順天堂大学保健医療学部
2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
3順天堂大学大学院医学研究科
キーワード:
経頭蓋直流電気刺激
,
transcranial direct current stimulation
,
tDCS
,
脳科学
,
可塑性
,
非侵襲的脳刺激
Keyword:
経頭蓋直流電気刺激
,
transcranial direct current stimulation
,
tDCS
,
脳科学
,
可塑性
,
非侵襲的脳刺激
pp.803-807
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203520
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はじめに
経頭蓋直流電気刺激法(transcranial direct current stimulation:tDCS)は,頭蓋の外から非侵襲的に微弱な直流電流(数mA程度)を10〜20分程度与えることで,脳内のシナプス可塑性に影響を与えるneuromodulationの手法である(図1).簡単に表現すれば,脳に対する物理療法の一種といえるだろう.
脳を非侵襲的に刺激する物理療法としては,反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial mag-netic stimulation:rTMS)もtDCSと同様に代表的なneuromodulationである.これらは神経疾患の患者の機能回復だけでなく,精神疾患患者のうつ症状の改善やアスリートのパフォーマンスの改善も報告されている2〜4).tDCSの欠点として,空間分解能と時間分解能がrTMSに比べて低いことが挙げられる5).
ここ数年でtDCSに関する臨床研究がさかんとなり,関連文献も増えてはいるものの,2024年3月の時点で,tDCSは本邦で医療機器の認可を受けるに至っていない.そのため臨床的な使用の保険適用はなく,使用にあたっては医師と相談のうえ,最新のエビデンス,使用方法や適応と禁忌のガイドライン1)について熟知しておく必要がある.また,研究として患者に実施する場合には,特定臨床研究の倫理審査が必要である.今後本邦でtDCSを有効活用するためには,エデビンスの構築と使用に関する詳細な検討が必要不可欠である.
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