講座 運動と分子生物学・4
運動が血管機能へ及ぼす影響
松本 泰治
1
,
下川 宏明
1
Yasuharu Matsumoto
1
1東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野
キーワード:
運動
,
老化
,
心血管病
,
心臓リハビリテーション
,
心臓弁膜症
Keyword:
運動
,
老化
,
心血管病
,
心臓リハビリテーション
,
心臓弁膜症
pp.701-707
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200951
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はじめに
運動療法を中心にした包括的心臓リハビリテーションは心臓や血管のみならず,骨格筋や自律神経などに作用し,多面的な効果を有することは論を俟たない.例えば,心ポンプ機能改善,血管内皮機能改善,骨格筋ミトコンドリアの増加,交感神経緊張の低下などが挙げられる.近年の分子生物学の進展に伴い,運動療法の分子生物学的機序には,insulin-like growth factor(IGF)1-phosphoinositide 3-kinase(PI3K)-Akt経路,nitric oxide(NO)合成,サーチュイン,マイオカイン,micro-ribonucleic acid(miRNAs),endothelial progenitor cell(EPC)など多くの役者がかかわることがわかってきた.本稿では,最近の筆者らの知見も加えて,心臓リハビリテーションの予後改善効果の分子機序について老化や各臓器への運動の効果,運動の早期疾病予防の観点から概説する.
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