特集 脳卒中片麻痺患者の体性感覚障害と理学療法
脳卒中片麻痺患者における体性感覚障害が運動機能に及ぼす影響
金子 文成
1
Fuminari Kaneko
1
1札幌医科大学保健医療学部理学療法学第二講座
キーワード:
脳卒中片麻痺
,
体性感覚
,
運動感覚
,
運動
,
ロボティックデバイス
Keyword:
脳卒中片麻痺
,
体性感覚
,
運動感覚
,
運動
,
ロボティックデバイス
pp.809-816
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106748
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はじめに
体性感覚機能と運動機能の障害が,脳卒中片麻痺症例においてともに存在していることは多い.では,体性感覚機能障害の存在は,運動機能障害にどの程度影響しているのであろうか.
体性感覚機能と運動機能は切り離せない関係にあるので,そのような要素還元的な考察は無意味かもしれない.しかし,体性感覚の入力と運動を出力する機能とが密接に関連していることは明白であり,運動出力の機能を高めたいわれわれとしては,その方策として,果たして体性感覚入力をどのように応用すればよいのか,あるいはそのようなことが意味を持つのかどうかについて,どうしても考察したくなる.
例えば筆者は,脳卒中片麻痺症例において運動機能と体性感覚機能が並列に回復していくのは,運動の出力経路と体性感覚の入力経路とが解剖学的に近接しているために,その神経回路網の機能的回復が同時に起こることによるのか,あるいは運動出力機能の回復にとって体性感覚機能がなくてはならないという機能的連関によるものなのか,という臨床的疑問を持ってきた.
本稿では,脳卒中片麻痺症例における体性感覚機能障害と運動機能障害に関する研究をまとめることで,運動機能回復に対する体性感覚機能障害の影響について考えたい.
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