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はじめに
発達障害とは,2005年に施行された発達障害者支援法の定義で,自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害(pervasive developmental disorders:PDD),学習障害(learning disorders:LD),注意欠陥/多動症(attention deficit/hyper-activity disorder:ADHD)その他これに類する脳機能の障害であって,その症状が通常低年齢において発現するものと定められている.
2012年の文部科学省の実態調査1)では,特別な教育上の支援を要する児童生徒は,通常学級に6.5%存在するとされ,近年急激に増加している.これは発達障害が啓発活動などにより,広く社会に認知されるようになり,対象となる子供が小児科や各都道府県に設置された発達支援センターなどの専門機関や療育機関に相談,受診するようになったことが主たる要因と思われる.また,PDD,ADHD,LDなどの発達障害の発症率が高いといわれている低出生体重児の増加2)もその一因と考えられる.
筆者らが勤務する愛媛県立子ども療育センター(以下,当センター)でも,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD),ADHDなどの発達障害児に対するリハビリテーション処方が増加している.特に姿勢,バランスの問題や運動の不器用さ(clumsiness)を主訴とする,米国精神医学会による「精神疾患の診断と統計の手引き第5版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition:DSM-5)」で分類されている,運動症群(motor disorders)の発達性協調運動症/発達性協調運動障害(developmental coordination disorder:DCD)3)の児に理学療法(physical therapy:PT)を処方されることが多い.
そこで本稿では,DCD児の姿勢運動の特性について,臨床経験と諸家の報告を概観し,当センターで行っている理学療法を紹介する.
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