特集 生活支援につなぐ小児理学療法
呼吸管理を伴う重症心身障害児の小児理学療法と生活支援
山本 奈月
1
Natsuki Yamamoto
1
1旭川荘療育・医療センターリハビリテーション課
キーワード:
姿勢ケア
,
Family-centred survice
,
生活支援
Keyword:
姿勢ケア
,
Family-centred survice
,
生活支援
pp.905-911
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200678
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はじめに
重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態を重症心身障害といい,その状態にある子どもや大人を重症心身障害児(者)[以下,重症児(者)]とよぶ.現在,重症児(者)は,全国に約43,000人で,在宅で養育されている児(者)は28,660人と推定されている1).重症児(者)は日常生活のあらゆる場面で介助が必要であり,しばしば活動・参加が制限される.そしてその家族は「自由になる時間がない」,「子どもの養育による睡眠不足」,「体力の限界」などさまざまな負担を背負っている1).
近年では,気管切開や呼吸管理,経管栄養などが必要な,いわゆる「在宅重症心身障害児」が増加しているといわれている.その背景として,出産年齢の高齢化などのハイリスク分娩の増加や,早産・低出生体重児の増加が挙げられる.近年の医学の進歩により新生児死亡率,特に早産児や低出生体重児の死亡率が低下してきている一方で,以前であれば救命できなかったが,救命できることによって気管切開や呼吸管理,経管栄養などが必要な重度の障害を抱えた児が増加している2).このように重症心身障害に呼吸機能障害を併せ持つと,日常生活の介助に加えて医療ニードが高まり,人工呼吸器や吸引器,酸素ボンベなど常に持ち運ばなければならない高度な機材が増加する.それらが子どもと家族の活動・参加の制限をさらに助長してしまう.
呼吸管理を伴う重症児(者)とその家族の支援を行うにあたっては,彼らの日常生活を把握・理解し,活動・参加などの日常生活の支援をするための援助が必要であるということを念頭に置かなければならないと筆者は感じている.
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