発達障害児の成人移行支援

Transition support for children with developmental disabilities to adulthood

はじめに

　近年，少子化が指摘されているが，発達障害と診断され，支援を受けている子供の数は増えているといわれる．児童発達支援の仕組みは整備され，特別に支援が必要という子供に対しては特別支援教育の受け皿も増えていると思われる．そのような中，発達障害の相談に乗るという医療機関への受診は，予約しても何か月待ちだと嘆かれている現状である．また，生まれつきの問題である発達障害は，症状の軽減や周囲の理解ある環境で問題は少なくなることはあるが，特性がなくなるということではない．その理解のもと，教育分野，社会全体での合理的配慮，インクルージョンの考え方は少しずつ広がってきてはいる．しかし，まだまだ不十分である．特に成人に関しては，その理解や対応はかなり不十分と思われる．日本で2005年に発達障害者支援法が施行されて18年，成人移行の問題は待ったなしである．