とびら
臨床と教育の接点—より良い問いかけを求めて
内田 成男
1
1富士リハビリテーション専門学校
pp.879
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200339
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理学療法士として臨床一筋と思っていましたが,縁あって養成校の教員となり,あっという間に10年間が経過しました.教育現場では,教員の期待とは裏腹に学生の理解度は深まらず,日々思い悩むことばかりです(当初から的確なアドバイスをいただいた高知医療学院の宮本省三氏や県立広島大学の沖田一彦氏には心から謝意を表したい).それでも,学生の顔つきや振る舞いに変化がみられ,少しずつ理学療法士という専門家に近づくのが感じられると,本当に嬉しい気持ちになります.
さて,理学療法の臨床実践と養成校における教育現場とを重ね合わせてみると,意外に共通点が多いことに気づかされます.例えば,立ち上がり動作の自立を目標としている対象者に対して,私たちの治療介入を考えてみましょう.動作の習得には,動作方法の教示,モデル提示,動作の試行,KR・KPの付与,課題の難度調整,課題の反復練習という一連の学習プロセスが必要不可欠であり,理学療法士の治療方略は「学習支援」と言っても過言ではありません.このプロセスは対象者と理学療法士の相互作用(interaction)によって生み出されるわけですが,教育現場も同様に学習という視点は欠かせません.
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