特集 脳機能回復と理学療法
脳機能回復と認知神経的アプローチ
中野 英樹
1,2
Hideki Nakano
1,2
1かねこ整形外科リハビリテーション科
2畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
キーワード:
脳卒中
,
運動ネットワーク
,
半球間抑制
,
New M1(4a野)
,
Old M1(4p野)
Keyword:
脳卒中
,
運動ネットワーク
,
半球間抑制
,
New M1(4a野)
,
Old M1(4p野)
pp.813-819
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200316
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脳卒中は世界各国で共通してみられる中枢神経疾患である.World Health Organizationの報告1)によると,世界中の脳卒中発症者数は毎年約1,500万人であり,さらに脳卒中による死亡は心臓病,がんに次いで3番目に多いことがわかっている.また,2013年の国民生活基礎調査(厚生労働省)2)によると,脳卒中は要介護認定要因の第1位となっている.脳卒中発症後の運動機能障害は,在宅におけるADLならびにQOLを大きく低下させることから3),脳卒中患者の運動機能回復を促進させるための効果的なリハビリテーション方法の開発は国家的課題といえる.
2014年のCochran systematic reviewsによると,脳卒中発症後の上肢運動機能回復に適度な効果を示すリハビリテーションはいくつか報告されているが,高い効果を示すリハビリテーションは未だ確立されていない4).脳卒中発症後の運動機能回復に高い効果を示すリハビリテーションを開発するためには,脳損傷後の運動機能回復の背景にある脳内メカニズムを理解することが必要不可欠である.そこで本稿では,脳損傷後の運動機能回復の背景にある脳内メカニズムについて概説し,その神経メカニズムならびに脳の機能的特性にもとづいた運動療法について紹介する.
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