とびら
毎年1万人超の理学療法士の誕生
中 徹
1
1群馬パース大学保健科学部理学療法学科
pp.775
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200309
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ここ数年,毎年1万人超の理学療法士が誕生しています.それは今後ずっと継続する見通しです.理学療法士が増えることは心強い限りですが,喜んでばかりはいられない現実も見ておかなければ明るい将来につながりません.今月はその現実についていくつか考えていきましょう.
理学療法士は,定年退職に至る方の数がまだ数年間は少数であること,また離職率が低い職種であることから,毎年数千人の純粋増が見込める「高度成長」の職域です.理学療法士はほとんどが医療機関と福祉機関に勤務しますので,それぞれが公的医療費の売り上げを新しく生み出すことになります.毎年1万に近い数千人の理学療法士増が年間医療費の自然増の一部なのでしょう.しかしながら,この数千人分の増加が毎年積算されるとなると,公的医療費のシステムが物理的に維持されるかどうかは極めて不安です.もちろん,このシステムは行政がメインテナンスするものです.ですから,医療費の歯止めなき増加に対する公的医療費の対応は理学療法士には関係がないと言ってもいいのですが,実はそうではないことを次に考えます.
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