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はじめに
近年わが国は超高齢化社会に突入し,急性期病院では高齢障害者が増加し,基礎体力低下,多疾患等により障害は複雑化している.よって,急性期リハビリテーションの重要性はさらに高まると考えられ,廃用症候群の予防,ADLの維持向上を目的として入院早期から開始することが求められるが,急性期リハビリテーションではリハビリテーション科が主科ではなく副科となる場合が多く,主科からの依頼に頼るため,長期臥床による廃用症候群の併発後に開始されることがあった.また,そのため,主科とのさらなる連携が急務と考えられる.
日本リハビリテーション医学会の急性期リハビリテーション実態調査ワーキンググループ1)の報告によると,平均リハビリテーションスタッフ数(100床あたり)は急性期病院で理学療法士2.8人,作業療法士1.3人,言語聴覚士0.8人,回復期病院で理学療法士19.9人,作業療法士13.9人,言語聴覚士5.5人,各療法士1人あたり月次リハビリテーション診療患者数は急性期病院で80.9人,回復期病院で18.0人と報告されている.この調査はリハビリテーション科専門医の在籍する日本リハビリテーション医学会「研修施設」の急性期病棟における場合であり,リハビリテーション科医師のいない急性期病院ではさらにリハビリテーション専門職は少なく,十分な急性期リハビリテーションが行われていないことが考えられる.一方,リハビリテーション専門職を病棟に配置することで入院からリハビリテーション依頼までの日数や在院日数が短縮し,リハビリテーション効率,自宅復帰率の向上がみられたとの報告2)や,病棟への専属配置により病棟医師や看護師からコミュニケーションの改善,リハビリテーション内容の理解向上,患者のADLが早期に改善したなどのアンケート結果の報告3)があり,リハビリテーション専門職を病棟に配置することでリハビリテーションの効果を高めることができると考えられる.
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