臨床実習サブノート 臨床実習における私の工夫・10
症例報告書—私ならこう書く
中山 恭秀
1
Yasuhide Nakayama
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
pp.79-86
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200102
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はじめに
東京慈恵会医科大学附属第三病院は,581床を有する急性期病院である.急性期医療を軸としながら,その特徴は結核病棟,森田療法センター(精神科病棟),そしてリハビリテーション科病棟という3つの回復期医療を挙げ,積極的な総合医療の提供を心掛けている.リハビリテーション病棟は回復期病棟ではなく,集中的にリハビリテーションの必要があると判断した症例については期間を定めず,社会復帰を視野に入れた総合的リハビリテーション医療を進めるための病棟として認知されている.
さて,「症例報告書」はそもそも,理学療法士として責任を持って症例を担当できるようになってからの作成が望まれるものであり,さまざまな最終決定が行えない実習生(いわゆる免許を持たない学生)が作成するには制約がある1,2).また,実習生が症例報告書を作成することに時間をかけてしまい,指導者もその作成に追われてしまう可能性が高い.当院では入職から3年間で5通の症例報告書の作成を課題としており,4年目から臨床実習指導者としての能力を身につけるための卒後教育に力を入れている.
一方,実習生には発表会の資料としてのレジメの作成を課題としているが,過去に当院で学んだ実習生が作成したレジメと,スタッフが入職3年間で作成したレポートをファイリングし,誰でも閲覧できるように学生実習室に配置している(図1).すべてを見せて模倣を推奨し,そこから最大限症例について考えてもらうことにしている.そのため本稿では,実習生に対するレジメ作成をベースとした症例報告書作成について書くこととする.
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