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特集 乳癌の縮小根治手術
大・小両胸筋温存術式の適応
私はこうしている
Modified radical mastectomy with preservetion of pectoral muscles:Indication, procedure and results
泉雄 勝
1
Masaru IZUO
1
1群馬大学医学部第2外科
pp.903-907
発行日 1982年6月20日
Published Date 1982/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208052
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はじめに
近年,世界的な傾向として,またここ10年来本邦においても,問題とされてきた乳癌の縮小手術については,およそ次の2つの流れに分けて考えることができる.その一つは乳癌の早期症例において,腋窩郭清は必要であるが,そのために胸筋の切除がすべて不可欠ではないとするもので,今一つは郭清も乳房切除範囲も含めて,侵襲を少なくし,これに放射線照射の援用を受けて,手術を縮小しようというものである.わが国での外科医の考え方の大部分は前者の範囲にとどまるものといえよう.すなわち,胸筋を温存する手術のみで,完全治癒を期待出来るものを適応として選ぶということである.
広義の非定型手術には,①大・小両胸筋を温存して,乳房・腋窩の両組織を切除郭清するもの(Br+Ax),②大胸筋は温存して,小胸筋は切除するもの(Br+Ax+Mn手術),③小胸筋を温存して,大胸筋を切除するもの(Br+Ax+Mj)などが含まれるが,狭義のmodified radical mas—tectomyと呼ばれるものが,①のここで述べる両胸筋温存術式である.いずれにせよ冒頭に述べた理由で,これらの手術の評価に当つては,1)根治性(治癒)への期待と同時に,2)術後の美容あるいは機能保持ということが根底にあると思われる.従つて,これらの手術の,乳癌の手術としての可否や,いかに行わるべきかということよりも,いかなる症例に行われるべきかということが最大の論点となろう.
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